第22回 2006.6.17(土)
「ジャスミンと天然アユ」
「何の気もなしにケータイを取ると同時に主人から電話がありました。「
亡くなった」との知らせでした。私は「はい」と一言言うと止めどなく涙がこぼれました。
早く帰ろうと思いましたが「早く帰らんでもいいから…ゆっくり行きなさいね」と主人の言葉。
義父が亡くなりました。帰り道ほのかな香りが漂ってきました。私は「ジャスミンの香りだ」と思い、ふと義父の事が脳裏に浮かんできました。息子と娘に「2時ごろに行くからね」と言うと
娘は泣いていました。
夕方主人の実家に着いた私たちは亡き義父の顔を見ると、まだ体は温かく、眠っているようでした。「つらかったね。もう
ゆっくり休んでください。お疲れ様でした」と主人、私、息子、娘は手を合わせ
精一杯泣きました。
亡き義父が大好きで得意だったアユ釣り。毎年解禁になるころ釣ったアユを冷凍し宅急便で送ってくれましたね。「天然だから本当に、
おいしいよ」と家族みんなで頂くと、あっと言う間に平らげました。もうアユは送ってもらえないね。
過去には戻れない。そう思うと無念でなりません。
去年退院するとき、私に「わが家が一番いいよ」と義父は笑っていました。その笑顔が最後でした。もういないんだね…。私は毎年
ジャスミンの香りがする季節には
亡き義父のことを思い出すことでしようね」